その日のまえに・・・
以前、不動産のご売却をお手伝いさせていただいたご家族の方のお話し。
査定のお問合せをいただき、売却をご希望のお住まいへ査定のため訪問。
ご売却の理由は、ご兄弟が自宅でお亡くなりになり不動産を相続。
資産処分をしたいとのご相談。
お伺いしたお住まいはご実家。
ご両親はすでにお亡くなりになり、お兄さんがお一人で数年間お住まいになっていた。
数か月前に突然、警察から電話が・・・
近所の方から警察に通報。
話しを聞くと1週間以上、お兄さんが外出されていないようだと。
・・・お部屋でお亡くなりなっていたとのことです。
回覧板が回っておらず、いつもならすぐに回す方なのに不思議に思って毎日ポストを見てくれていたようです。
お話しをお伺いすると、お母さまも数年前にご自宅でお亡くなりなり、お父さまが認知症で状況が分からず・・・
デイサービスの方が翌日、訪問された際に発見。
弟さんとお兄さんの関係は良好。
年末年始やお盆など電話で連絡を取り合っていたようです。
そんなお兄さんが突然・・・
かなりショックを受けて、しばらく仕事をお休みされたようです。
お部屋の中は生活されていた状態のまま。
必要なものなどは弟さんが引き取り、室内外のも残置物等業者の方に撤去してもらい販売開始。
駅の距離は徒歩30分
土地は広く60坪、間取りは4LDK
日当たり・風通しは良好
告知事項あり
販売から2か月ほど。数十組のお問合せ、数組の内見があり、
ご夫婦からお申込みをいただきました。
告示事項は全く気にならず、条件にピッタリですとご契約となりました。
弟さんは「兄のことはあまりにも突然だったため、悔いは残るが、責任を全うできたようで安心した」と安堵されておりました。
ふと先日、本棚を整理していた際に目に留まりました。
小説家、重松清さんの著書「その日のまえに」
(2005年発売)
普段意識していない「終わり」に目を向けさせてくれる一冊。
当時、涙ながらに読みました。
不動産という職業柄、人の生死に向き合うことが多々あります。
嬉しいことも悲しいことも。
最初に本を読んでから18年。
年を重ね、新たに読んで「その日」が来る前に、当たり前の日常が、突然、当たり前ではなくなる。今を生きる大切さを改めて心に刻みたいと思いました。
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