「20年間行方知らずの夫」の相続手続き(その1)
2022年8月のある日、柏市にお住いの独居の女性・Aさん(72歳。長男・Bさん〔独身。柏市内で別居。〕と長女・Cさん〔既婚で、都内在住。家族は、夫・2人の子供〕の子供2人)から電話が有りました。
「以前、みろく不動産の仲介で長男が住むためのマンションを購入したという、ご近所に住む親しくお付き合いしている奥様から紹介されて電話をしました。」とのこと。
お話を伺うと、「20年以上前に忽然と蒸発してその後別居したままで、音信不通だった夫・甲が先月(7月)、死亡した。 最後の居住地(三浦半島)の警察署からの電話で知った。 警察の話では、『ご主人は独居で、自宅で病死しているところを死亡日当日に友人により発見された。 司法解剖が終わり次第、遺体を引き取って頂きたい。』とのこと。
長男、長女と共に三浦半島の警察に出向き、遺体を引き取ってから現地で荼毘(ダビ)に付し、その遺骨を柏市の自分の自宅に安置している。
ついては、亡夫・甲の相続手続きについて相談に乗って頂きたいのですが?」とのことでした。
この様な相続手続きについてお手伝いをするのは、当社の本来の仕事ではありませんが、「亡夫・甲の遺産である三浦半島にある自宅を売却したい。」との意向もあり、それをお手伝いできるのであれば、ということで、他の専門家と一緒に相続手続きについてお手伝いすることにしました。
相続手続きを始めるに当たって、先ず確認すべきは、「亡夫・甲の『遺言書』の有無」です。 また、不動産、金融資産等の「プラスの財産」だけでなく、住宅ローン、クレジットや連帯保証債務等の「マイナスの財産」を全て調査します。 「20年以上音信不通の亡夫・甲がどのような生活をしていたか?」が不明のため、「マイナスの財産」の調査は慎重に進めることが必要です。
もし、マイナスの財産の方が多かった場合は、3ヶ月以内に家庭裁判所に「相続放棄の申述」か「限定承認の手続き」をしないと、相続人は、「相続を単純承認したもの」とみなされ、債権者からの債務返還請求を拒むことができなくなります。
あらゆる手を尽くして調査した結果、「マイナスの財産はない。」との結論に達したため、相続手続きを先に進めることにしました。
<以下、次号>
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